
出っ歯が気になるけれど、矯正の治療期間がどのくらいかかるのか不安…」「ワイヤーやマウスピースなど装置の違いで効果が変わるのか知りたい」そんな疑問を抱えていませんか。
出っ歯は単なる見た目の問題にとどまらず、噛み合わせや発音、虫歯や歯周病のリスクにもつながります。
一方で、矯正歯科の進歩によりインビザラインなどのマウスピース治療から部分矯正、裏側ワイヤーなど多彩な方法が選べるようになっています。症例の程度や生活習慣に合わせた治療法を選ぶことで、見た目の改善だけでなく長期的な健康維持にもつながります。
この記事では、軽度から重度までの治療方法や期間、装置の特徴、保定や後戻り防止の重要性まで解説します。最後まで読むことで「自分に必要な治療はどれか」「矯正の効果がいつから実感できるのか」といった不安がクリアになり、安心して一歩を踏み出せる知識が手に入ります。
出っ歯の矯正とは?原因と症状をわかりやすく解説
出っ歯(上顎前突)とは?見た目と噛み合わせの特徴
出っ歯は医学的には上顎前突と呼ばれ、前歯や上顎が前方に突出している状態を指します。この特徴は見た目だけでなく、日常生活にも大きな影響を与えます。まず視覚的な影響として、口を閉じても唇が閉じにくい、横顔で鼻と顎を結んだEラインから口元が前に出てしまうなどの特徴があります。特に横顔に現れる印象は、自己評価や対人関係において心理的負担になることも少なくありません。
噛み合わせへの影響も深刻です。前歯が前方に出ていることで下の歯とうまく噛み合わず、咀嚼効率が低下します。また発音にも影響が出る場合があり、特にサ行やタ行の発音が不明瞭になることがあります。さらに噛み合わせが不均衡だと顎関節に過度な負担がかかり、長期的には顎関節症や頭痛、肩こりにつながるリスクも高まります。
このように出っ歯は単なる見た目の問題ではなく、噛み合わせ、発音、顎関節機能といった健康全般に関連している点が特徴です。
出っ歯の特徴と影響を表にまとめました。
項目 | 主な影響 |
見た目 | 唇が閉じにくい 横顔のバランスが悪い |
噛み合わせ | 咀嚼効率の低下 下顎との不均衡 |
発音 | サ行やタ行が不明瞭 |
健康リスク | 顎関節症 頭痛 肩こり |
出っ歯の主な原因(骨格性・歯性・生活習慣)
出っ歯の原因は大きく三つに分けられます。一つ目は骨格性の要因です。上顎そのものが過剰に発達している場合や下顎が後退している場合、歯列矯正だけでは改善が難しく、顎の骨格的な不調和が主な原因となります。骨格性の出っ歯は遺伝的な影響も大きく、両親や祖父母に同じ特徴が見られることが多いです。
二つ目は歯性の要因です。歯の位置や角度に問題がある場合、たとえば前歯が前方に傾斜している、奥歯の位置関係がずれているなどによって出っ歯が生じます。この場合はワイヤー矯正やマウスピース矯正によって改善できるケースが多いです。
三つ目は生活習慣による要因です。指しゃぶり、舌を前に押し出す癖、口呼吸などが長期間続くと、前歯が前方に移動して出っ歯を助長します。特に成長期の子どもでは、こうした習慣が骨格や歯並びの発達に大きく影響を与えるため注意が必要です。
出っ歯の主な原因と特徴をまとめたものです。
原因分類 | 具体例 | 特徴 |
骨格性 | 上顎の過成長 下顎の後退 | 遺伝の影響大 矯正と外科治療併用が必要な場合もある |
歯性 | 前歯の前傾 奥歯の位置異常 | 矯正装置で改善可能 |
生活習慣 | 指しゃぶり 舌癖 口呼吸 | 成長期の歯列や骨格に大きく影響 |
このように原因を正しく見極めることが、適切な矯正方法を選択するために非常に重要です。
出っ歯と口呼吸・舌癖・歯周病リスクとの関係
出っ歯は口呼吸や舌癖とも深く関係しています。口呼吸が習慣化すると口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の自浄作用が低下して虫歯や歯周病のリスクが高まります。さらに口を閉じにくいため、自然に出っ歯が強調されるという悪循環が生じます。
舌癖、特に舌を前歯に押し付ける習慣も出っ歯の原因となります。舌は非常に強い筋肉で、毎日の小さな力が積み重なることで前歯を押し出し、歯列を乱す大きな要因になります。特に成長期の子どもにこの癖があると、歯並びだけでなく顎の発育にも悪影響を及ぼします。
また出っ歯は歯周病のリスクを高めることも知られています。前歯が突出していることでブラッシングが難しくなり、歯垢がたまりやすくなります。その結果、歯茎の炎症や歯周病が進行しやすくなるのです。さらに口呼吸による乾燥や舌癖による負担が加わることで、歯周組織にダメージが蓄積されやすくなります。
出っ歯と関連するリスク要因です。
- 口呼吸により口腔内が乾燥 虫歯 歯周病リスクが増加
- 舌癖による前歯への圧力で歯列が乱れる
- 歯磨きが難しくなり歯垢が蓄積しやすい
- 長期的に歯周病が進行しやすくなる
このように出っ歯は単なる歯並びの問題にとどまらず、生活習慣や口腔内環境、全身の健康にも深く関わる重要な症状です。適切な診断と早期の治療が、見た目だけでなく口腔全体の健康を守るために不可欠といえるでしょう。
出っ歯の治療方法を徹底比較!ワイヤー・マウスピース・部分矯正
ワイヤー矯正(表側・裏側)の特徴と適応症例
ワイヤー矯正は矯正治療の中で最も歴史が長く、多くの症例に対応できる万能な方法です。表側矯正は歯の表面にブラケットとワイヤーを装着し、持続的な力をかけて歯を正しい位置に移動させます。見た目に装置が目立つというデメリットはありますが、治療効果は高く、軽度から重度まで幅広い出っ歯の症例に対応可能です。また力のコントロール性が高いため、抜歯を伴う矯正や大きな移動を必要とする場合でも安定した結果が得られます。
裏側矯正は歯の裏側にブラケットを取り付ける方法で、外からは装置がほとんど見えないことが最大の特徴です。審美面を重視する人に選ばれやすく、仕事や接客業で矯正装置を隠したい人に向いています。ただし裏側は装着や調整が難しく、専門技術を持った矯正歯科医でないと適切に治療を進めるのが難しい点もあります。さらに発音や舌に違和感が出やすく、慣れるまでに時間を要する場合があります。
ワイヤー矯正の大きな強みは適応症例の広さです。重度の上顎前突や噛み合わせのずれを伴う複雑なケースでも対応可能であり、部分的な調整ではなく全体的な改善を必要とする患者に最適といえます。さらに、長期的に安定した噛み合わせを作りやすい点も特徴で、矯正終了後の後戻りが少ないのも利点です。矯正後の安定性は生活習慣やリテーナーの使用にも左右されますが、ワイヤー矯正はその点で信頼性が高い治療法といえるでしょう。
また、ワイヤー矯正は装置の種類によっても違いがあります。例えば、金属製のブラケットは耐久性が高く費用も比較的抑えられますが、見た目が目立ちやすいのが難点です。一方、セラミックブラケットは白色で目立ちにくく、審美性を求める方に人気がありますが、やや割れやすく費用も高めになります。このように患者の希望やライフスタイルに合わせて選択肢を広げられるのもワイヤー矯正の強みです。
ワイヤー矯正の特徴をまとめた表です。
項目 | 表側矯正 | 裏側矯正 |
装置の見た目 | 目立ちやすい | 外から見えにくい |
適応症例 | 軽度から重度まで幅広い | 中度から重度まで対応可能 |
調整難易度 | 標準的 | 高度な技術が必要 |
発音への影響 | 少ない | 出やすい |
治療効果 | 高い | 高いが慣れが必要 |
ワイヤー矯正は効果と信頼性が高く、症例の幅広さからも基本となる治療法といえますが、審美性や装着感をどこまで重視するかで表側か裏側かを選ぶのが一般的です。
出っ歯・矯正・マウスピースのメリット・デメリット
マウスピース矯正は透明なアライナーを用いる方法で、装置が目立たず取り外し可能である点が特徴です。最もよく知られているのはインビザラインであり、近年では軽度から中等度の出っ歯矯正に広く使用されています。審美性を重視する若年層から社会人まで幅広く支持されており、装置をつけていることが周囲に気づかれにくいのが大きなメリットです。
マウスピース矯正は食事や歯磨きの際に取り外せるため、日常生活の快適さが保たれる点も強みです。口腔内を清潔に保ちやすく、むし歯や歯周病のリスクを抑えながら治療を進められます。またデジタルスキャンを用いた治療計画により、事前に歯の移動シミュレーションを確認できるため、仕上がりをイメージしやすいという安心感もあります。
一方でマウスピース矯正には注意点もあります。重度の出っ歯や骨格的な問題を伴う症例には不向きで、対応できる範囲に限界があります。また装着時間を自己管理する必要があり、1日20時間以上装着しないと効果が出にくい点も課題です。装着を怠ると治療期間が延びたり、計画通りに歯が動かなかったりするリスクがあります。さらに、マウスピース自体は薄いプラスチック素材でできているため、強い力をかけにくく、大きな歯の移動を要する場合には不向きです。
マウスピースは定期的に交換する必要があり、通常1〜2週間ごとに新しいアライナーへと移行します。このため、通院の頻度がワイヤー矯正よりも少なく済むことが多く、遠方に住む患者や忙しい社会人にも適しています。ただし、計画通りに歯が動かなかった場合には追加アライナーが必要になり、結果的に治療期間や費用が増える可能性もあります。
マウスピース矯正のメリットとデメリットをまとめたものです。
項目 | メリット | デメリット |
審美性 | 透明で目立ちにくい | 強い力をかけにくい |
生活面 | 食事や歯磨き時に取り外せる | 自己管理が必要 |
健康面 | 清潔を保ちやすい | 外しすぎると効果が低下 |
適応症例 | 軽度から中等度の出っ歯 | 重度や骨格性には不向き |
マウスピース矯正は生活の質を保ちながら矯正をしたい人に最適ですが、症例によっては従来のワイヤー矯正の方が確実な結果を得やすい場合もあります。どちらを選ぶかは症状の程度と生活習慣を考慮して判断することが重要です。
部分矯正と全体矯正の違いと選び方
部分矯正は前歯など目立つ一部の歯を整える方法で、比較的短期間で治療が完了することが多いのが特徴です。特に軽度の出っ歯や前歯の傾きなど、局所的な問題に対して適しています。全体矯正に比べて費用を抑えやすく、日常生活に与える影響も少ないことから、短期間で見た目を改善したい人に選ばれる傾向があります。例えば「結婚式までに前歯だけ整えたい」といった希望に応えるのに有効です。
一方、全体矯正は上下の歯全体を動かして噛み合わせから改善する方法であり、根本的な治療を行えるのが強みです。見た目の改善だけでなく、咀嚼機能や顎関節への負担軽減といった健康面のメリットも得られます。重度の出っ歯や噛み合わせの異常を伴うケースでは、全体矯正が必須とされる場合が多いです。
部分矯正は一見すると手軽ですが、噛み合わせに影響を与えるほどの調整はできません。そのため、表面的にきれいに見えても長期的には不具合が残ることもあります。一方で全体矯正は時間と費用がかかるものの、根本的な改善が可能なため、治療後の安定性や機能面の向上が期待できます。
部分矯正と全体矯正の比較したものです。
項目 | 部分矯正 | 全体矯正 |
治療範囲 | 前歯など一部のみ | 上下すべての歯 |
治療期間 | 短期間で終了しやすい | 長期間必要 |
費用 | 比較的抑えられる | 高額になりやすい |
適応症例 | 軽度の出っ歯 前歯の傾き | 中度から重度の出っ歯 噛み合わせ不良 |
効果 | 見た目を早く改善 | 機能面も含め根本的に改善 |
選び方のポイントは、自身の症例の程度と治療目的にあります。見た目を早く整えたい場合は部分矯正が選択肢となりますが、噛み合わせや健康面の改善も含めて長期的な安定を求めるなら全体矯正が望ましいといえます。矯正のゴールをどこに設定するかで、選択すべき治療法が変わるのです。
出っ歯の矯正にかかる期間と効果が出るタイミング
軽度・中度・重度で異なる治療期間
出っ歯の矯正に必要な期間は、症例の程度や選択する治療法によって大きく異なります。一般的には軽度の症例であれば短期間で改善が期待できるのに対し、中度から重度の症例になると治療計画も複雑化し、長期にわたる治療が必要になります。これは歯の動く速度が一定ではなく、骨格や歯根の状態、年齢などによって変化するためです。矯正治療は一見単純に見えても科学的な根拠に基づいて進められるため、専門家による精密な診断が欠かせません。
軽度の場合は、前歯が少し前に出ている程度で、部分矯正やマウスピース矯正が適応されやすいです。歯を動かす距離が短いため、半年から一年程度で治療を終えることもあります。中度の場合は、上顎前突が目立つケースや噛み合わせにずれがあるケースで、全体矯正が必要となり、二年前後の治療期間を見込むのが一般的です。重度の場合は抜歯を伴う矯正や骨格的な問題を伴うことが多く、三年以上かかることも珍しくありません。治療期間は長くなりますが、根本的な改善につながり、健康面と審美面の両方において安定した効果を得られます。
また、治療方法によっても期間は変わります。例えば、マウスピース矯正は目立ちにくく取り外しができるメリットがありますが、装着時間を守らないと治療が長引く傾向があります。一方、ワイヤー矯正は歯を効率的に動かせるため確実性が高く、特に中度以上のケースで選ばれやすい治療法です。患者のライフスタイルや希望する見た目も含めて、最適な方法を選択することが重要です。
治療法ごとにおおよその目安をまとめると次の通りです。
症例の程度 | 治療方法の例 | 目安となる期間 |
軽度 | 部分矯正 マウスピース矯正 | 半年から一年程度 |
中度 | 全体矯正 ワイヤー矯正 | 一年半から二年程度 |
重度 | 抜歯矯正 外科的矯正併用 | 二年以上 三年以上かかることも |
このように期間の差は大きいですが、重要なのは無理に早さを追求するのではなく、歯や骨に無理のないペースで動かすことです。短期間で強い力をかけると歯根吸収や歯茎の後退などのリスクが高まるため、安全性を優先することが求められます。
矯正の効果が見え始めるまでの目安
矯正治療を始めた患者が気になるのは、いつから効果を実感できるかという点です。一般的には治療開始から数か月で前歯の位置が変化し始め、見た目にわかる変化が現れます。特にワイヤー矯正では装置を装着してから三か月ほどで前歯の傾きが改善されるケースが多く、周囲から「歯並びが変わった」と指摘されることも少なくありません。マウスピース矯正の場合も同様に、数か月で歯の移動が進み、笑顔の印象が変化してきます。
ただし、効果の実感には個人差があります。歯の移動速度は年齢や骨の状態によって異なり、若年層ほど歯が動きやすい傾向があります。また、歯列全体のバランスを整える段階では、見た目の変化が一時的に分かりにくくなることもあります。それでも専門医の計画通りに進めば、治療の過程で徐々に効果を感じられるようになります。
治療の進行における効果実感の目安を整理すると以下のようになります。
治療開始からの期間 | 実感できる変化 |
三か月以内 | 前歯の傾きが改善 口元がすっきりする |
半年 | 歯列の並びが整い、笑顔の印象が変わる |
一年 | 噛み合わせが改善し、横顔のラインが整ってくる |
二年以上 | 全体的な噛み合わせと口元が安定する |
効果の実感が遅いと不安になる人もいますが、矯正は長期的な治療であり、途中経過も大切なステップです。焦らず治療を継続することで、最終的に安定した歯並びと美しい口元を得ることができます。
保定期間と後戻り防止の重要性
矯正治療が終わっても、そのままでは歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」という現象が起こります。これを防ぐために必要なのが保定期間です。治療後にはリテーナーと呼ばれる保定装置を装着し、歯や歯周組織が新しい位置に安定するまで固定することが重要です。
保定期間は一般的に治療にかかった年数と同じ程度、もしくはそれ以上が必要とされます。軽度の症例であれば1~2年程度で済むこともありますが、中度から重度の症例では3年以上装着することもあります。特に成長期を終えた大人の場合は骨格が完成しているため、歯が元に戻ろうとする力が強く働き、注意が必要です。
リテーナーには取り外し可能なタイプと固定式のタイプがあります。取り外し可能なタイプは清掃がしやすい一方で、装着時間を守らなければ効果が弱まります。固定式は常に歯の裏側に装着されるため確実ですが、清掃の工夫が必要です。どちらのタイプを選ぶかは症例や生活習慣に応じて決定されます。
保定期間を軽視すると、せっかく整えた歯並びが数か月で崩れてしまうこともあります。そのため矯正治療は「矯正装置を外したら終了」ではなく「保定まで含めて初めて完了」と考えることが大切です。
保定で重要なポイントをまとめました。
- 治療年数と同等かそれ以上の保定期間が必要
- 取り外し式と固定式のリテーナーがある
- 装着時間を守らないと後戻りのリスクが高まる
- 保定は矯正治療の最終ステップであり軽視できない
矯正治療は時間をかけて行うものですが、その成果を維持するためには保定が不可欠です。後戻りを防ぎ、美しい歯並びを長期にわたり維持するためには、患者自身の努力と専門家の指導が両立することが重要です。
出っ歯の矯正をしない場合のリスクとデメリット
噛み合わせや発音への悪影響
出っ歯を放置した場合、最も大きな問題の一つが噛み合わせへの悪影響です。上顎の前歯が突出していると、下の歯と適切に接触せず、食べ物をうまく噛み砕けないことがあります。特に硬い食品や繊維質の多い食品を咀嚼する際に効率が落ち、消化器官に負担をかける可能性もあります。噛み合わせの不良は長期的に見ると顎の関節にも影響し、顎関節症のリスクを高める要因となります。
発音への影響も無視できません。サ行やタ行など、舌の位置が歯と密接に関わる発音では、歯が前に出ていることで舌の動きが制限され、不明瞭な発音になりやすいのです。これは本人の自覚だけでなく、相手にとっても聞き取りにくさを感じさせ、コミュニケーションに支障をきたす場合があります。特に人前で話す機会が多い人にとっては大きな心理的負担となります。
さらに、噛み合わせのずれによって咀嚼筋や顎関節に偏った力がかかると、頭痛や肩こり、首のこわばりといった全身症状を引き起こすこともあります。歯並びの問題が体全体のバランスに影響することを理解しておくことが重要です。慢性的な肩こりや首の不調が実は歯並びに由来していた、というケースも珍しくありません。睡眠時に歯ぎしりが悪化することで眠りが浅くなり、日中の集中力低下や疲労感にもつながる恐れがあります。
出っ歯を放置した場合の噛み合わせと発音への影響をまとめた表です。
項目 | 悪影響 |
噛み合わせ | 食べ物が噛みにくい 消化器官への負担 顎関節症のリスク |
発音 | サ行やタ行が不明瞭 聞き取りにくい声になる |
全身症状 | 顎関節の負担 頭痛や肩こりを誘発 |
このように出っ歯による影響は見た目の問題にとどまらず、日常生活のさまざまな場面に悪影響を及ぼします。放置すればするほど症状は慢性化し、治療が複雑になる可能性が高まります。特に成長期の子どもにおいては、発音や咀嚼の習慣が将来に大きく影響するため、早期に矯正を検討することが望ましいでしょう。成人であっても改善によって健康や生活の質が向上するため、専門医の診断を受け、適切な治療を進めることが大切です。
顔貌や口元のコンプレックスが残るリスク
出っ歯を矯正しない場合、顔貌や口元の見た目に関するコンプレックスが長期間残る可能性が高いです。口元が前に出ていると横顔のバランスが崩れ、いわゆるEラインから外れてしまいます。写真に写った自分の姿や鏡に映る横顔に不満を抱きやすく、これが自己肯定感を低下させる要因となることがあります。
心理的な影響は特に若年層や思春期に顕著です。この時期は対人関係や外見への意識が強く、口元の悩みがコンプレックスとなり、笑顔を控える、会話を避けるといった行動につながることがあります。友人関係や恋愛面での積極性が失われ、社会性の発達に影響を及ぼす場合もあります。社会人においても同様に、人前でのプレゼンテーションや接客業務に影響する場合があり、キャリアや人間関係にまで波及することがあります。
また口元が閉じにくいために常に口を半開きにしてしまい、だらしない印象を与えることもあります。第一印象において口元は重要な要素であり、整った口元は清潔感や自信を感じさせますが、出っ歯が目立つと逆の印象を与えるリスクがあります。結果として「笑顔に自信が持てない」「写真が嫌いになる」といった生活上の不自由を感じることが増えていきます。
出っ歯によるコンプレックスが及ぼす影響をまとめたものです。
- 笑顔をためらうことで対人関係が消極的になる
- 写真写りに不満を持ち自己評価が下がる
- 人前で話すことを避け、職場や学校での発言機会が減る
- 口元が閉じにくく清潔感に欠ける印象を持たれる
こうした心理的なリスクは、見た目だけの問題にとどまらず、生活の質や社会的な評価に直結する重要な課題となります。
虫歯・歯周病・顎関節症リスクとの関係
出っ歯は健康面でも多くのリスクを伴います。前歯が突出しているとブラッシングが難しくなり、歯垢や歯石がたまりやすい環境になります。その結果、虫歯や歯周病の発症リスクが高くなります。特に歯茎に炎症が広がる歯周病は、進行すると歯の喪失にもつながる深刻な病気であり、放置すべきではありません。
また、出っ歯は口呼吸を招きやすく、口腔内が乾燥することで細菌が増殖しやすい状態になります。唾液の自浄作用が弱まるため、虫歯や歯周病の進行スピードが速くなるのも特徴です。さらに舌癖などの習慣が加わると歯に過度の圧力がかかり、歯茎や歯根にダメージが蓄積していきます。
顎関節症との関連も見逃せません。噛み合わせが不均衡な状態が続くと、顎の関節に過剰な負担がかかり、顎の痛み、口の開閉時の音、頭痛や肩こりといった症状を引き起こすことがあります。慢性化すると日常生活に大きな支障をきたし、治療が長期化するケースもあります。さらに、睡眠時無呼吸症候群やいびきの悪化にもつながる可能性があり、全身的な健康への影響は無視できません。
出っ歯による健康リスクをまとめた表です。
リスク要因 | 具体的な影響 |
虫歯 | 前歯の清掃が難しく発症リスクが高まる |
歯周病 | 歯垢が蓄積し炎症や歯の喪失につながる |
口呼吸 | 乾燥により細菌が増殖しやすい環境になる |
顎関節症 | 顎の痛み 音 頭痛や肩こりを伴う |
出っ歯を放置することは、見た目だけでなく健康全体に悪影響を及ぼします。矯正を行わない選択は、これらのリスクを抱え続けることを意味するため、長期的に見て望ましい判断とはいえません。
まとめ
出っ歯の矯正は、見た目の改善だけでなく噛み合わせや発音、さらには健康維持に直結する重要な治療です。
矯正方法にはワイヤー矯正やマウスピース矯正、部分矯正など多様な選択肢があり、それぞれに適応症例やメリット、リスクがあります。例えばインビザラインのようなマウスピースは目立ちにくく取り外し可能ですが、症例によってはワイヤー装置が必要になるケースもあります。治療期間も軽度なら1年程度、中度や重度では数年に及ぶことがあり、保定期間を含めた長期的な視点が欠かせません。
放置すると虫歯や歯周病、顎関節症のリスクが高まり、見た目や健康面に加えて心理的なコンプレックスも残りやすくなります。逆に適切な治療を受けることでEラインが整い、横顔や口元の印象が改善するだけでなく、発音や咀嚼機能も向上します。
矯正を検討している方は「本当に効果があるのか」と迷うこともあるでしょう。しかし矯正歯科での診断を受け、信頼できる歯科医師と相談することで、自分に合った治療法を選びやすくなります。確かな情報に基づく判断は不確かな噂よりも安心です。
出っ歯の矯正は未来の自分への投資です。治療を始めるかどうかで、数年後の健康や自信に大きな差が生まれます。今悩んでいる方こそ、正しい知識を持って一歩を踏み出すことが大切です。
よくある質問
Q. 出っ歯の矯正にはどのくらいの期間がかかりますか
A. 出っ歯の矯正に必要な期間は症例によって異なります。軽度であれば部分矯正やマウスピース矯正で半年から1年程度で改善することがあります。中度では全体的な矯正が必要になり1年半から2年程度、重度の場合は抜歯やワイヤー矯正を併用して2年以上かかるケースもあります。さらに矯正後は後戻りを防ぐために保定期間が1年以上必要となるのが一般的です。
Q. 出っ歯の矯正をすると顔つきや横顔はどのように変わりますか
A. 矯正治療によって前歯の位置が整うと口元が後退し、横顔のEラインが改善される効果があります。鼻先と顎先を結ぶラインに近づくことでフェイスラインがすっきり見えるほか、唇が自然に閉じやすくなるため清潔感のある印象につながります。症例によっては顔が長く見えると感じる場合もありますが、これは骨格や噛み合わせのバランスの変化による印象であり、臨床的に不自然な変化が起きるわけではありません。
Q. 出っ歯の矯正の費用はどのくらいかかりますか
A. 出っ歯の矯正費用は装置や症例の程度によって幅があります。部分矯正であれば比較的抑えられ、全体矯正になると費用は高くなります。表側ワイヤー矯正は標準的な治療法であり、裏側ワイヤー矯正は審美性を重視する分、費用がさらに高くなります。マウスピース矯正は透明で目立たない利点がありますが、症例により追加費用がかかることもあります。費用は数十万円単位となり、症例や治療計画によって変動します。
Q. 出っ歯の矯正をしないとどんなリスクがありますか
A. 出っ歯を放置すると見た目の問題だけでなく健康にも影響します。噛み合わせの悪化によって咀嚼効率が落ち、消化器に負担がかかることがあります。発音が不明瞭になるケースもあり、コミュニケーションに支障をきたすこともあります。また口呼吸や舌癖により歯周病や虫歯のリスクが高まり、顎関節症につながる場合もあります。さらに口元のコンプレックスが残ることで心理的な負担が続き、日常生活の質が低下する恐れもあります。
医院概要
医院名・・・さいわいデンタルクリニックmoyuk SAPPORO
所在地・・・〒060-0062 北海道札幌市中央区南二条西3丁目moyukSAPPORO2F
電話番号・・・011-206-8440